輪ゴムによる鉄砲やホッピングについて考えてみましょう。
輪ゴムやホッピングは、形が変わって飛んだりはねたりすることが出来ますね。
このとき、この輪ゴムやホッピングからは明らかに運動エネルギーが生じていることが解ります。
しかし、何もないところから自然にエネルギーが発生することは、前に述べてきた力学的エネルギー保存の法則に反します。
すなわち、この輪ゴムやホッピングに蓄えられているエネルギーは、何らかの形で供給されたものであるはずです。
例えば、輪ゴムの鉄砲は、輪ゴムを指に引っ掛けて、指で引っ張らなければ飛ばすことが出来ません。エネルギーは、この指で引っ張る、という動作の中で蓄えられています。
この時、指は輪ゴムに力を加えて動かしているので、この仕事が輪ゴムにエネルギーとして蓄えられていることには何の不思議もありません。
この時蓄えられているエネルギーを弾性エネルギーと言います。
人が走っているときや歩いているときにも、筋骨格系に弾性エネルギーが蓄えられ、筋が発生させるエネルギーの25〜50%ものエネルギーを再利用させることが出来るのです。
これは生態学的に見て、非常に効率の良い機構であるといえます。
さて、今度は具体的に式を用いて説明していきます。
ばねを伸ばしていくときの弾性エネルギーについて考えてみます。
ばねを伸ばしていくときは、指がばねに力を加えながら動かすので、指がばねに対して仕事をしたということになります。
この時、ばねにかかる力は一定ではないので、力と距離を掛けるだけでは指がする仕事を求めることは出来ません。
ばねを伸ばすのに必要な力は、ばねの伸びによって変化していくのですが、ばね定数を k 、自然の長さからのばねの伸びを x とすると、ばねを伸ばすのに必要な力 F は、フックの法則にしたがって、となります。
このような時、どうすれば指がした仕事を求められるか考えてみましょう。
ばねを伸ばしていくと、伸ばすのに必要な力は上述したフックの法則より、下図のように徐々に変化していきます。
このグラフをもとにしてばねの仕事の量を計算すると、指のした仕事は、図の三角形の面積になるので、三角形の底辺 x、高さ kx より、ということになります。
この指がした仕事が、ばねに弾性エネルギーとして蓄えられます。
さて、次にこの弾性エネルギーを含んだ、力学的エネルギー保存の法則を説明していきます。
ばねの先に台車を付けた実験器具を用いて考えてみます。
このばねの弾性エネルギーはどのようなものになるでしょうか。
上述したように弾性エネルギーは変位に関する二次の関数なので、下図のような下に凸の放物線になります。
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